発がん性物質「PFAS」とは? 水道水は安全? 最新の調査結果について解説
地球規模での気候変動や汚染問題に対応するべく、環境の保護・保全を目的とした取り組みが世界中で続けられています。
しかし産業が生み出した数多くの汚染物質が、環境と人体にさまざまな悪影響を及ぼしていることも顕在化しています。
発明された物質の多くは画期的な利便性で瞬く間に普及していきましたが、長期的な使用の結果として深刻なデメリットが判明するケースは珍しくありません。
近年その問題が大きく取り上げられている化学物質の一つに、「PFAS(ピーファス)」が挙げられます。
この物質の危険性は報道でも目にすることから、強く印象に残っている方も多いのではないでしょうか。
本記事ではPFASとは何か、そして私たちが日常生活で使用している水道水への影響はどの程度のものなのかについて解説します。
「PFAS」とは?
発がん性や環境への悪影響が指摘されている「PFAS」とは、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の略称で、有機フッ素化合物の総称を指す用語です。
PFASは自然界に存在しない人工の物質で、熱や薬品に耐性があり撥水・撥油といった性質を持っていることからさまざまな製品に用いられています。
身近な例ではフッ素加工を施された鍋やフライパン、消火器の泡や殺虫剤、ペンキなどの塗料や防水機能を持った衣服などでの利用が挙げられます。
非常に便利な物質ではありますが水に溶けやすいうえに自然界では分解されにくく、永遠に残存する化学物質であることから「Forever Chemicals(フォーエヴァーケミカル)」とも呼ばれています。
さらには生物の体に蓄積されやすい性質を持っており、人体への悪影響としては「発がん性」「免疫機能低下」「ホルモンかく乱」などが懸念されています。
PFASには数多くの種類が存在し多ければ1万種を超えるといわれており、そのすべてが有害であるかどうかは判明していません。
しかし少なくともPFASの一種である「PFOS(ピーフォス)」と「PFOA(ピーフォア)」については、明確な危機意識をもって注視しているといえるでしょう。
PFOSは「ペルフルオロオクタンスルホン酸」の略称で、消化泡の薬剤や金属メッキ処理剤、半導体用の反射防止剤などに用いられていたものです。
一方のPFOAは洗剤などに使われる界面活性剤に用いられ、いずれも国内外で製造と使用が規制されている物質です。
これらの危険性についてはIARC(国際がん研究機関)における2023年12月発表では、PFOAの発がん可能性を従来の「可能性がある」から2段階上の「ある」へと変更、PFOSについては新たに「可能性がある」に指定しました。
また、ホルモンの正常な働きを妨げ生殖機能異常や甲状腺疾患、あるいは心疾患や肥満の可能性を高めるといいます。
さらには免疫機能を低下させることで感染症に罹患するリスクを増大させ、世界的なコロナ流行の中でその危険性が高まっています。
PFASは日本の水道水や河川、地下水からも検出
人工の物質であるためもともとは自然界に存在しないPFASですが、日本でも水道水や河川、あるいは地下水から検出されており汚染が広がっていることが判明しています。
その経路の全容は判明していませんが、空港や軍施設で用いる消火剤の泡に多く含まれていることや、フッ素加工を施された製品の廃棄物などから拡散していることが想定されています。
PFASは水に溶けやすい性質を持っていることから水脈や流域によって遠くまで運ばれ、しかも生体内に蓄積されるため生態系の中でさらに広範囲に分散していくことも大きな懸念点です。
特に水道水や地下水などそのまま飲料水として口にするものに含まれている場合は高いリスクがあり、実際に日本各地で安全基準値を超過するPFASの検出事例が相次いでいます。
このことから、本格的な調査と対策が各自治体単位でも喫緊の課題として位置付けられています。
各国・機関におけるPFASの安全基準値は?
PFASの問題は世界規模でのテーマですが、各国や専門機関ではどのような安全基準値を設けているのでしょうか。
国によって考え方や取り組み方が異なるためその数値にはばらつきがありますが、参考までに環境省の資料を基に、日本を含む4か国と1機関での飲料水1LあたりにおけるPFAS目標値の例を以下に見てみましょう。
アメリカ
アメリカではPFOS・PFOAともに、飲料水1Lに対して各4ナノグラムを安全基準値として設定しています。
ここで挙げる例のなかではもっとも厳しい基準であり、PFASに対する深刻な懸念を実感させる数値といえるでしょう。
イギリス
イギリスでの基準は、PFOS・PFOAともに各100ナノグラムを安全基準値としています。
本例のうちではもっとも大きな数値ではありますが、後に挙げる世界保健機関(WHO)の設定値と同じであり、現時点では一つの世界基準とも考えられるでしょう。
ドイツ
ドイツではPFOSをはじめとした合計4種類のPFASで、2028年から合計で20ナノグラムという安全基準値を設定しています。
近い将来での規制のため現状では暫定措置であるともいえますが、PFOS・PFOAのみならず他のPFASも対象にしていることは特筆すべき点です。
今後の研究の進展に伴い、さらに規制対象物質が増加していく可能性は大いにあるといえるでしょう。
日本
日本では飲料水1Lに対して、PFOSとPFOAを合わせて50ナノグラムを安全基準値として定めています。
アメリカと比べるとおよそ6倍の量を許容している計算になりますが、これは25mプールいっぱいの水に対して塩が150粒程度といった比率になるといいます。
ただし今後の基準見直しによって、さらに厳しい数値が設定される可能性も否定できないでしょう。
世界保健機関(WHO)
世界保健機関ではイギリスと同じくPFOS・PFOAともに各100ナノグラムを安全基準値としています。
権威ある国際的な機関の定める数値であることから一つの世界的な基準ともいえますが、各国の水資源利用状況や文化背景などによってその捉え方はさまざまです。
したがって一律の基準値が必ずしも適切であるとはいえず、健康・環境への影響を継続的にモニタリングしつつ対応していくことが重要とされています。
PFASへの対処法は?
PFASの危険性、そして水道水などへの混入で私たちも知らないうちに口にしてしまっている可能性があることを見てきました。
さらには永遠に残る化学物質と呼ばれるほど分解されにくいという性質があることから、もし飲用水に混入している場合にはどうすればよいのでしょうか。
以下、PFASが混入している水の対処法について、効果の有無とともに3例を解説します。
効果なし→煮沸
水は沸騰させることでほとんどの菌が死滅するといわれ、安心して飲用水にするにはまずもって煮沸するのがセオリーです。
しかし結論からいうと、水を煮沸しても混入したPFASが除去されることはありません。
したがって水道水でも井戸水でもPFAS除去を期待して沸騰させることは推奨できず、そのまま飲用することに懸念がある水の利用には十分な注意を払いましょう。
効果あり→活性炭フィルター
一方でPFASの除去に効果のあることが証明された方法に、活性炭フィルターの利用が挙げられます。
検証によると活性炭を用いたフィルターでは70~80%のPFASを除去する能力があるといい、蛇口に取り付けることが可能な家庭用製品も数多くラインナップされているため、比較的低いハードルで導入可能な対策といえるでしょう。
活性炭の持つろ過・吸着の作用がPFAS除去に効果を発揮するものと考えられますが、さらなるPFAS拡散を防ぐためにも使用したフィルターは適切な方法で廃棄することが重要です。
効果あり→逆浸透膜フィルター
逆浸透膜フィルターは活性炭フィルターと同様に飲料水の汚染を除去するろ過システムの一種で、同じくPFAS対策として効果を発揮します。
このことから飲料水に混入したPFASへの対処として現時点で判明していることは、汚染物質のろ過や吸着といった浄水処置が有効であるといえるでしょう。
ただしこの逆浸透膜フィルターは浄水装置のなかでももっとも高価な技術といわれることがあり、普及にはさまざまなハードルがあるといえるでしょう。
まとめ
最後まで記事をご覧いただきありがとうございました。
この記事ではPFAS(ピーファス)と呼ばれる有機フッ素化合物の危険性と、飲用水での有効な処置について解説しました。
PFASは既に日本各地の水道水・河川・井戸水などから見つかっており、周辺住民の体内からも検出されています。
環境および健康に深刻なダメージを与えるおそれのあるPFASの問題は、今後さらなる広がりを見せる可能性が高いといえるでしょう。
一方ではろ過・吸着といった処置に一定の効果があることも判明していることから、適切な機能を有した浄水器の利用が促進されることも予想されます。
すぐにでも取り組める方法で生命と健康を守ることは、重要な姿勢であることは論を待ちません。
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